通所介護(デイサービス)の加算について

通所介護(デイサービス)における加算は、利用者の状態や事業所の体制に応じて算定され、サービスの質向上や職員の処遇改善を目的としています。以下に、2024年度(令和6年度)介護報酬改定に基づく主な加算とその概要をまとめます。
目次
主な加算と概要(2024年度改定対応)
加算名 | 単位数・頻度 | 主な算定要件 |
---|---|---|
個別機能訓練加算 (Ⅰ)イ・ロ | イ:56単位/日 ロ:76単位/日 | 専従の機能訓練指導員を配置し、個別の訓練計画に基づく訓練を実施すること。 |
個別機能訓練加算 (Ⅱ) | 20単位/月 | 加算(Ⅰ)を算定し、LIFEへの情報提出とフィードバックの活用を行うこと。 |
口腔機能向上加算 (Ⅰ・Ⅱ) | Ⅰ:150単位/回 Ⅱ:160単位/回 | 専門職による口腔機能の評価と計画に基づくサービス提供。 |
入浴介助加算 (Ⅰ・Ⅱ) | Ⅰ:40単位/日 Ⅱ:55単位/日 | 入浴介助を実施し、必要な体制を整えていること。 |
認知症加算 | 60単位/日 | 認知症の診断があり、専門的な対応が必要な利用者へのサービス提供。 |
若年性認知症利用者受入加算 | 60単位/日 | 若年性認知症の利用者を受け入れ、適切な対応を行うこと。 |
ADL維持等加算 (Ⅰ・Ⅱ) | Ⅰ:30単位/月 Ⅱ:60単位/月 | ADLの維持・改善に関する評価を行い、LIFEへの情報提出と活用を行うこと。 |
栄養アセスメント加算 | 50単位/月 | 栄養状態の評価を行い、必要な支援を計画・実施すること。 |
栄養改善加算 | 200単位/回(最大月2回) | 栄養改善が必要な利用者に対し、計画的な支援を行うこと。 |
口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ・Ⅱ) | Ⅰ:20単位/回 Ⅱ:5単位/回 | 口腔・栄養状態のスクリーニングを定期的に実施すること。 |
中重度者ケア体制加算 | 45単位/日 | 要介護3以上の利用者が一定割合以上で、専従の看護職員を配置していること。 |
生活機能向上連携加算 (Ⅰ・Ⅱ) | Ⅰ:100単位/月 Ⅱ:200単位/月 | 他職種との連携により、生活機能の向上を図る計画を実施すること。 |
サービス提供体制強化加算 (Ⅰ~Ⅲ) | Ⅰ:22単位/回 Ⅱ:18単位/回 Ⅲ:6単位/回 | 介護福祉士の割合や勤続年数に応じた体制を整備していること。 |
介護職員等処遇改善加算 | 所定単位数に一定割合を乗じた額 | 職員の処遇改善に関する計画を策定し、適切に実施していること。 |
加算を取得する際の準備
1. 加算の要件確認
- 国や自治体の通知・Q&Aで、対象となる加算の算定要件・職種要件・利用者要件を確認
- 例:個別機能訓練加算 ⇒ 機能訓練指導員の専任配置が必要
LIFE関連加算 ⇒ 情報提出が必須
2. 体制整備
- 専門職の人員配置(看護職・PT・栄養士など)
- 必要な設備・文書様式の整備(訓練計画、アセスメント様式 等)
3. 職員研修の実施
- 加算要件に該当する業務(記録、アセスメント、LIFE入力など)のマニュアル整備と職員教育
4. 届出書類の作成と提出
- 指定権者(都道府県や市町村)に加算の届出書類を事前に提出
- 一部は「算定開始月の前月15日まで」など期限あり
5. 記録・評価体制の構築
- 計画書・実施記録・評価記録の整備
- 必要に応じて、LIFEへの情報提出やフィードバックの活用
加算取得のメリット
メリット | 内容 |
---|---|
収益の向上 | 1回あたりの単価が上がり、月額収益が増加。個別機能訓練加算や入浴介助加算だけでも月10~20万円の増収になるケースあり。 |
サービスの質向上 | 栄養・機能訓練・認知症対応など専門的支援が充実し、利用者満足度が向上。 |
職員の処遇改善に直結 | 処遇改善加算・特定処遇改善加算を活用すれば、賃金アップや離職率低下に貢献。 |
他事業所との差別化 | 加算の多さは「対応力」「専門性」の証明となり、営業や連携面で優位に。 |
LIFE活用による科学的介護の推進 | 客観データの蓄積・フィードバックがあり、質の可視化が可能に。 |
加算取得のデメリット・留意点
デメリット | 内容 |
---|---|
書類業務の負担増 | 記録・計画書・評価書などの作成が必須。業務量が増加し、負担に感じる職員も。 |
届出・運用ミスのリスク | 届出漏れや算定誤りがあると返還対象に。監査時に指摘されることも。 |
専門職確保のハードル | 機能訓練指導員や栄養士など、必要な職種の採用が難しい場合あり。 |
LIFE入力のシステム・教育負担 | 専門知識やIT操作が必要なため、導入初期は混乱しやすい。 |
過剰算定によるサービス形骸化 | 加算取得ばかりに目が行き、本来の目的(利用者支援)がおろそかになる懸念。 |
加算取得の判断ポイント
- 人員体制 加算に必要な職種を確保できるか
- 運営方針 「数」よりも「質」の追求を重視しているか
- 収支状況 加算取得による増収でどこまで費用をカバーできるか
- 職員の協力度 記録や計画書作成に取り組む意欲があるか
- ICT環境 LIFEなどの運用に必要なネットワーク・PC環境があるか
加算の取得は、サービスの質向上や職員の処遇改善に直結します。各加算の詳細な要件や手続きについては、厚生労働省の通知や各自治体の指導を確認し、適切に対応することが重要です。
