介護記録で使ってはいけない言葉とは?|記録の種類と注意点、言い換え例を解説

介護記録における「使ってはいけない言葉」とは?日報や事故報告など各種記録の目的ごとに、NG表現とその理由、適切な言い換え例や喜ばれる言葉を具体的に解説します。
目次

はじめに:なぜ“言葉の選び方”が重要なのか

介護記録は、職員間の情報共有や利用者への対応を円滑にするだけでなく、法的証拠や第三者評価(監査・家族・行政)にも使われる重要文書です。そのため、曖昧な表現や不適切な言葉遣いは、誤解やトラブルの原因になります。

記録の種類と対象

介護記録といっても、記録の用途・閲覧者により言葉の選び方が異なります。まずは主な種類を整理しましょう。

記録の種類主な閲覧者特徴・目的
日常介護記録(日報)職員全体、家族、第三者機関情報共有・状態把握
ケア記録/アセスメントサ責・ケアマネ・看護師計画の見直し・支援の妥当性判断
ヒヤリ・事故報告書上長・法人本部・行政・家族説明責任・再発防止
連絡帳(家族向け)家族・本人生活の報告・信頼構築

→ すべてに共通して言えるのは「記録は第三者に読まれる可能性がある」という前提です。

使ってはいけない言葉とその理由

介護記録には適切な表現が求められます。以下は、誤解や信頼低下を招きかねない表現と、その理由をまとめた一覧です。

主観的すぎる表現

NG例理由
「不機嫌だった」職員の主観が強く、何をもって不機嫌と判断したのか不明確。
「いつもわがまま」決めつけ・感情的表現で記録として不適切。

第三者が読んでも客観的に理解できる表現が必要です。

抽象的で曖昧な表現

NG例理由
「なんとなく元気がなさそう」客観的な根拠がなく伝わりにくい。
「よく話していた」どの程度かが不明。曖昧なままでは記録の意味がない。

観察できる事実で記録する必要があります

差別的・否定的・攻撃的な表現

NG例理由
「ボケている」差別用語。認知症に関する正確な表現が必要。
「わからずや」感情的かつ否定的で、利用者の尊厳を損なう。

敬意を持った言葉遣いが求められます

記録で使いたい言葉・言い換え例

不適切な表現を避けるには、具体的かつ尊重を込めた言葉に置き換えることが大切です。以下に代表的な言い換え例を紹介します。

NGワード言い換え例解説
「不機嫌」「表情が曇っていた」「返答が少なかった」客観的に観察された事実を記述。
「わがまま」「希望と異なる支援に対し拒否の姿勢があった」状況を正確に伝える表現に。
「暴れた」「大声を出し、椅子を蹴るなどの行動が見られた」行動を具体的に記述。
「ボケている」「短期記憶が保持されにくい様子」「同じ内容を繰り返し質問される」医学的・尊重をもった表現に。
「言うことを聞かない」「支援に対し拒否の意思を示された」利用者の意思を尊重する表現。

利用者やご家族が読んだとき、嬉しくなる言葉

記録は安心や信頼にもつながります。ご本人やご家族が読んで前向きな気持ちになれる表現例を以下にご紹介します。

使ってよい言葉の例ポイント
「穏やかに過ごされていました」心身の安定をポジティブに伝える
「以前よりも歩行が安定しています」成長や回復を記録
「笑顔が多く見られました」気持ちの変化を肯定的に伝える
「ご自分から○○を希望されました」主体性を尊重する視点

おわりに:記録は“信頼をつくる言葉”の積み重ね

介護記録は単なる作業ではなく、利用者を尊重し、他の職員や家族とつながるための大切なコミュニケーションツールです。言葉一つひとつが、信頼と支援の質に直結します。ぜひ、見直す機会としてご活用ください。

介護記録における「使ってはいけない言葉」とは?日報や事故報告など各種記録の目的ごとに、NG表現とその理由、適切な言い換え例や喜ばれる言葉を具体的に解説します。

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