2026年に向けて、通所介護は今年何に向き合うべきか― 制度・現場・経営を俯瞰して整理する ―

2026年に向けて、通所介護は今年何に向き合うべきか

2025年を通過した現在、通所介護(デイサービス)を取り巻く環境は、
「なんとなく厳しい」という感覚論ではなく、構造的な変化の段階に入っています。

人材不足、総合事業、ICT、生産性向上、介護予防――
どれも以前から語られてきたテーマですが、
それらが 同時に・複合的に 事業運営へ影響を与えるフェーズに入りました。

本記事では、厚生労働省の制度動向と現場実態を踏まえながら、
今年1年で通所介護が向き合うべき論点を俯瞰的に整理します。

目次

2025年以降、通所介護を取り巻く環境はどう変わったのか

2025年は「ゴール」ではなく「通過点」

2025年は、団塊世代が後期高齢者となる節目の年として語られてきました。
しかし厚生労働省の議論を見ると、2025年は到達点ではなく、
2040年を見据えた議論へ移行するための通過点として位置づけられています。

人口減少、労働力不足、地域差の拡大。
これらを前提に、介護サービスは「量の確保」から
「体制の再設計・持続可能性」へとテーマが移っています。

第9期介護保険事業計画が示す大きな方向性

第9期介護保険事業計画(2024〜2026年)では、
以下の点がこれまで以上に明確に示されています。

  • 地域包括ケアシステムの深化
  • 介護予防・重度化防止の推進
  • データに基づく計画・評価の重視
  • 人材確保と生産性向上の両立

これは、通所介護が
「これまで通り運営すればよいサービスではなくなっている」
ことを示唆しています。

今年、通所介護が直面する3つの現実的論点

人材不足は「解消する問題」ではなく「前提条件」

介護人材不足は、いまや一時的な課題ではありません。
採用難・定着難が常態化する中で、
通所介護は 人が潤沢にいる前提の運営モデルからの転換を迫られています。

「人を増やす」よりも、
限られた人員でどう回すか
という視点が、今年さらに重要になります。

総合事業・軽度者支援は“整理される側”にある

要支援者は介護保険制度の対象であり、
訪問介護・通所介護については、市町村主体の
介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)を利用しています。

総合事業は今後も拡充・整理が進む分野であり、
通所介護は
「総合事業とどう接続するか」「どこまで担うのか」
を整理する必要があります。

生産性向上・ICT活用は“努力目標”から“前提”へ

厚生労働省は、制度・報酬・通知を通じて
介護分野の生産性向上やテクノロジー活用を後押ししています。

ICTは「余裕があれば導入するもの」ではなく、
業務を成立させるための前提条件に近づきつつあります。

なぜ通所介護は「忙しいのに楽にならない」のか

5つの課題が連鎖している構造

介護課題デザインマップ

通所介護の現場では、次のような課題が連鎖しています。

  • 人材不足
  • ICT導入が進まない
  • 個別支援計画が形骸化しやすい
  • 軽度者支援が弱くなる
  • 重度化リスクが高まる

一つひとつは別の問題に見えますが、
実際には 構造的につながった一つの流れとして現場を圧迫しています。

個別の努力では解決しない理由

この連鎖は、現場職員の努力だけでは断ち切れません。
制度、地域、体制、運用――
事業所単体では変えられない前提条件が存在するためです。

だからこそ、
「頑張る」ではなく「整理する」
視点が今年は重要になります。

厚生労働省の動向から読む「今年の注目ポイント」

介護予防・重度化防止が“評価される領域”になる

厚生労働省の資料では、
軽度者・要支援者への支援について
重度化防止・自立支援が明確な目的として示されています。

これは、
「軽度者支援は成果が見えにくい」から
「成果が問われる領域」へ移行していることを意味します。

通所介護は「地域の中での役割」を問われる

今後の通所介護は、
単体で完結するサービスではなく、
地域包括ケアの中でどの役割を担うかがより重要になります。

  • どの層を主に支えるのか
  • 総合事業とどう関わるのか
  • 他サービスとどう連携するのか

こうした問いへの整理が、今年は避けられません。

地域包括ケアシステムの構築

今年は「答えを出す年」ではなく「準備する年」

今年中に整理しておきたい視点

今年は、すべての答えを出す年ではありません。
しかし、次の点は整理しておく必要があります。

  • 自事業所の強み・役割
  • 軽度者支援への関わり方
  • 記録・計画・評価の運用方法

来年以降につながる“下地づくり”

体制、仕組み、考え方。
これらを 少しずつ整えること が、
来年以降の選択肢を広げます。

まとめ|今年は「見極めと準備の年」

通所介護は、縮小のフェーズではなく
再設計のフェーズに入っています。

今年は、

  • 制度を正しく理解し
  • 自事業所の立ち位置を見極め
  • 次の数年に備える

そのための 見極めと準備の1年です。

2026年に向けて、通所介護は今年何に向き合うべきか

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