2025年以降の通所介護の展望(デイサービス)― 厚生労働省の政策動向から読む「次の標準」―

通所介護を取り巻く環境は、2025年(団塊世代が後期高齢者)を通過点として、2040年(人口減少・サービス需要の構造変化)を見据えるフェーズに入っています。
厚生労働省は、介護保険制度の持続可能性を確保しながら、地域で暮らし続けられる体制を整える方向性を繰り返し示しています。
本稿では、厚労省の公式資料・審議会資料を根拠に、通所介護の展望を俯瞰的に整理します。
展望の大枠は「地域包括ケアの深化」と「持続可能性の確保」
厚労省は、地域包括ケアシステムについて「2025年に向けて、市町村が3年ごとの介護保険事業計画の策定・実施を通じて、地域特性に応じて構築していく」趣旨を明示しています。
つまり、通所介護は今後も「単体サービス」ではなく、地域の医療・介護・予防・生活支援・住まいの中で機能することが前提になります。
さらに近年の審議会資料では、地域包括ケアの深化と並んで、人材確保・生産性向上・経営改善支援など「持続可能性」を強い柱として扱っています。

- 「地域の受け皿」としての役割が、より明確に求められる
- 同時に、人材不足を前提に生産性向上(=業務の合理化・標準化)が標準要件化していく
「介護予防・重度化防止」を計画と評価へ導入
厚労省の第9期計画作成準備資料では、保険者機能強化の文脈で、データに基づく課題分析、適切な指標による実績評価、インセンティブの制度化や、計画に介護予防・重度化防止等の取組内容と目標を記載することが示されています。

- 介護予防・重度化防止は「理念」から「計画・評価」へ
- 通所介護(特に軽度者支援)は、“成果が問われる”領域として位置づきやすくなる
- “記録→評価→改善”の循環が弱い事業所ほど、相対的に不利になりやすい
「総合事業の充実」の推進
老健局の概算要求参考資料では、第9期計画期間中に総合事業の充実に集中的に取り組む旨が示され、地域の受け皿整備(生活支援体制整備事業の促進等)を進める方向が示されています。

- 要支援者を中心とする総合事業は、今後も“縮む”より“整える”方向
- 自治体差(運用差)が続きやすく、通所介護事業者は
- 総合事業との接続
- 役割分担(通所介護として担う部分/地域の受け皿として担う部分)を明確化する動きが強まる
「テクノロジー活用・生産性向上」を制度面から後押し
厚労省の「令和6年度介護報酬改定」関連ページには、総合事業に関する通知等も含めて、制度運用の更新がまとまっています。また、テクノロジー活用に関する取扱いが通知として整理されている点からも、現場の生産性向上を制度側が後押しする流れが読み取れます。

- ICTは「入れたら加点」ではなく、運営の前提条件へ近づく
- 記録・請求・情報共有・見守り等の“当たり前”が更新され、紙運用中心の事業所ほど苦しくなる
2040を見据えた議論が本格化し、「サービス提供体制の組み替え」がテーマに
厚労省は「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会を設置し、とりまとめを公表しています。
ここでは、人口減少下での体制、福祉サービス共通課題としての人材確保・職場環境改善・生産性向上、そして地域の「連携」を重視する方向性が示されています。

- “事業所単体の頑張り”では限界が来る
- 連携・共同化・経営支援(広域連携や法人連携を含む)の議論が強まり、
通所介護も「地域の提供体制の一部」として再配置
まとめ:厚労省の動向から見た「通所介護の次の標準」
厚労省の資料群を俯瞰すると、通所介護の展望は次の一本の線に収束します。
- 地域包括ケアの深化(地域の中で機能することが前提)
- 介護予防・重度化防止の計画化/評価(成果が問われる)
- 総合事業の充実(自治体差を内包しつつ受け皿整備)
- 生産性向上(テクノロジー活用)の制度的後押し
- 2040を見据えた提供体制の組み替え(連携・共同化)